うつに効く漢方薬!どれを選べばいいの?

基準となる漢方薬
まずは、国がお墨付きを与えている欝(うつ)症状や欝病に有効な漢方薬はあるのでしょうか。
残念ながら、厚生労働省が定めている一般用漢方製剤承認基準という薬局メーカーが漢方薬を作るための基準にはありません。
うつや鬱病の漢方薬はない?
そんなことはありません。一人ひとりの体質はあまり考慮せず、症状に合わせてお薬を決めるというのは、西洋医学の考え方です。東洋医学を根拠にする漢方薬は、必ずしも「症状=薬」ではありません。
同病異治をご存知ですか。
これは、「同じ病気でも、異なる治療を行う。」という東洋医学の教えです。この教えに沿えば、うつに悩む患者さんは、一律に同じ漢方薬を使うということはありません。
漢方治療は、表面上の病気を治療するというよりも、その人特有の病気に至った原因を分析し、その原因を取り除くという発想で根本治療を進めるからです。
うつだからこの漢方薬!と決め付けずに、まずは、うつに至った原因を探ることが大切になってきます。
ただ、原因を把握するというのはとても難しいことです。病気になった時期は何となく覚えていたとしても、ここ数ヶ月間の食事内容、運動で消費したカロリー、睡眠の質などは覚えている方は少ないでしょう。
そこで、原因を探る有効な手段として用いるのが、今の自分の体質を知るということです。体質や気質のことを東洋医学では、証(しょう)と呼んでいます。
この証は、私たちの過去の生活習慣の積み重ねからできていますので、ある時点の証を見出すことで、その病気に至った原因をも読み取ることができるのです。
現在の状況から、過去の原因を見出すのです。
はじめに、証の決め手となる4つの重要な要素を確認しておきます。
この歪んだ状態を、うち漢方では、「8つの証」に分類しています。

不足している状態は次のとおりです。
証に合わない漢方薬を服用すると、効かないどころか、副作用を起こす可能性があるので注意が必要です。
また、証は一つとは限らず複数が同時に現れることがあります。また時間の経過とともに、証は変化していきますので、漢方薬も証の変化に合わせて変えていく必要があります。
証については、次の動画で、うち漢方の専属薬剤師である「堀口和彦先生」が詳しく解説しています。お時間のあるときにご覧いただければ、深いところでご理解いただけるかと思います。
うつの証
ここからは、うつに効く漢方薬について、証ごとに具体的にご案内していきます。内容は、堀口先生へのインタビュー結果をまとめたものです。

うつの症状としては、意欲や気力が低下し、だるく、寝ていたい、閉じこもっていたいなどです。
また、眠れない、イライラする、不安感や焦燥感、ドキドキするなどの症状も加わることが多いです。うつには、複合的な要素があり、漢方治療のご相談も多々あります。
①気虚タイプのうつ
気力、意欲、やる気がないといった症状です。このタイプは、気力が不足しているうつのメインの証となります。
一般的に消化器系、胃腸の弱いタイプが多いです。食欲がなく、食べられない、お腹が張って入らないと訴える人が多いです。当然ですが、食のエネルギーが入らなければ、元気が出ません。
体力のもととなるエネルギーが体内に満たされないので、元気がなくなり、気力も低下します。体も細身です。
このような気虚タイプで、お腹をこわしたり、消化吸収能力が弱い方には次の漢方薬が有効です。
②陰虚タイプのうつ
不安や焦燥感、時には気持ちが低下して、時にはドキドキするタイプです。
体の中の水分が不足しているのが原因です。心の潤いがなくなる、心がギスギスする。心が渇くなどの症状はありませんか。心の潤いがなくなると、不安感が出やすくなります。
このタイプには、この漢方薬がおススメです。不眠や目の渇きにも使えます。
③気滞タイプのうつ
気力が滞って、ストレスが溜まっているタイプです。
イライラはしませんか。時には気分が落ち込み、時にはハイにもなります。怒りっぽくなったりと。また、落ち込みとイライラが、交互にくることもあります。
このタイプの場合は、次の漢方薬がおススメです。心と体のストレスを取ってくれます。
証は一つでない
あなたの証が、上記のように一つであれば、漢方薬も処方しやすくなります。
→ご自身の証を確認したい場合は、体質チェックをお試しください。
ただ、これまでのうち漢方の患者さんの「証判定の結果」をみると、一つの証に分類できない例が目立ちます。また、うつだけでなく、複数の症状やお悩みをもっている方が多いことがわかりました。
私たち人間は、一人としてまったく同じ悩みや証を抱えていることはありません。だから、本当はあなたに合った漢方薬は、これとこれ!とお決めするのが、治療を行う側の役割なのでしょう。
しかし、そうは言っても、お一人ずつの相談をうかがって先生が漢方処方をしていくとなると、「相談料」や「カウンセリング料」が発生してしまいます。
そこで、何とかご自身で見つけられる方法はないかと考え、実際にあったご相談例と、堀口先生が処方した漢方薬を、個人情報をしっかり保護した上で「公開」することにしました。
あなたのお悩みの症状や証に近いご相談事例があれば、そこで処方された漢方薬が参考になろうかと存じます。
うつの相談例
では具体的に、相談内容、先生の解説、処方の漢方薬などをご紹介していきます。
なお、証判定の結果や、詳しい相談内容をご覧になりたい場合は、各相談者の表題にリンクを貼っていますのでご覧ください。
45歳男性(気滞・血虚)の例
〇ご相談内容
うつ病 回復期にあり来週退院します。
しかしながら、不眠、頭痛、肩痛、腰痛があり身体が重く、まだ仕事に復帰するまでの気力の充実に至っておりません。特に不眠、頭痛を何とかしたくこの度のご相談に至りました。病院から処方されている薬は精神安定剤のセロクエル2錠、ラミクタール2錠、睡眠薬のマイスリー1錠です。
〇先生の解説
証判定の結果を拝見すると、気滞と血虚が高く出ています。
気滞は、心身の緊張から、元気が巡らず停滞している状態です。イライラ感や気力低下がその症状です。血虚は、脳や筋肉など酸素と栄養分が必要なところにそれらを供給する血が不足している状態を示します。これらの改善を目指して漢方で応援したいと思います。
胃腸の働きを高める必要があります。血や元気を回復するには、エネルギーが必要ですが、胃腸の働きが低いとエネルギーレベルは上がってきません。
そこで、加味帰脾湯と桂枝加竜骨牡蠣湯を選びます。加味帰脾湯は、胃腸の消化吸収の働きを高め、血を補い、心身の元気を出して、不眠や不安感を解消します。桂枝加竜骨牡蠣湯は、心身の緊張感を鎮め、肩こりや頭痛などを改善し、イライラ感や不眠を解消します。
〇処方された漢方薬
まとめ
うつを漢方薬で治したいのであれば、証を間違ってはいけません。
うつでお悩みの方がなりがちな3つの証と、漢方薬を押さえておきましょう。
①気虚タイプのうつ
この情報を共有いただけたら幸いです。
堀口先生に漢方処方を依頼するサービス
あなたの証に合った漢方薬は見つかりましたでしょうか?
もしもあなたが複数のつらい症状を抱えていて、治療だけでなく体質改善も進めたいのであれば、漢方薬の選定は慎重に行う必要があります。例えば、漢方の専門家に処方を任せるのも一案かと思います。
堀口和彦先生(経歴)
うち漢方.comの専属薬剤師(昭和38年さいたま市生まれ)
平成7年にさいたま市で漢方専門「光和堂薬局」を開業(院長)、鍼灸治療院も併設
漢方210処方生薬解説、やさしい漢方入門、パプアニューギニアの薬草文化、鍼のエビデンス等の著書
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