多汗症に効く漢方薬!どれを選べばいいの?

基準となる漢方薬
まずは、国がお墨付きを与えている多汗症に有効な漢方薬をご紹介します。厚生労働省が定めている一般用漢方製剤承認基準という薬局メーカーが漢方薬を作るための基準です。
この基準にある〔効能・効果〕から「多汗」を検索すれば、その答えが出てきます。ここでは、次の2種類の漢方薬を抽出しました。
多汗症の漢方薬は同じ?
では、誰もが基準となる漢方薬で、多汗症が治るのでしょうか?
そんなことはありません。一人ひとりの体質はあまり考慮せず、症状に合わせてお薬を決めるというのは、西洋医学の考え方です。東洋医学を根拠にする漢方薬は、必ずしも「症状=薬」ではありません。
同病異治をご存知ですか。
これは、「同じ病気でも、異なる治療を行う。」という東洋医学の教えです。この教えに沿えば、多汗症に悩む患者さんは、一律に同じ漢方薬を使うということはありません。
漢方治療は、表面上の病気を治療するというよりも、その人特有の病気に至った原因を分析し、その原因を取り除くという発想で根本治療を進めるからです。
多汗症だからこの漢方薬!と決め付けずに、まずは、多汗症に至った原因を探ることが大切になってきます。
ただ、原因を把握するというのはとても難しいことです。病気になった時期は何となく覚えていたとしても、ここ数ヶ月間の食事内容、運動で消費したカロリー、睡眠の質などは覚えている方は少ないでしょう。
そこで、原因を探る有効な手段として用いるのが、今の自分の体質を知るということです。体質や気質のことを東洋医学では、証(しょう)と呼んでいます。
この証は、私たちの過去の生活習慣の積み重ねからできていますので、ある時点の証を見出すことで、その病気に至った原因をも読み取ることができるのです。
現在の状況から、過去の原因を見出すのです。
はじめに、証の決め手となる4つの重要な要素を確認しておきます。
この歪んだ状態を、うち漢方では、「8つの証」に分類しています。

不足している状態は次のとおりです。
証に合わない漢方薬を服用すると、効かないどころか、副作用を起こす可能性があるので注意が必要です。
また、証は一つとは限らず複数が同時に現れることがあります。また時間の経過とともに、証は変化していきますので、漢方薬も証の変化に合わせて変えていく必要があります。
証については、次の動画で、うち漢方の専属薬剤師である「堀口和彦先生」が詳しく解説しています。お時間のあるときにご覧いただければ、深いところでご理解いただけるかと思います。
多汗症の証
ここからは、多汗症に効く漢方薬について、証ごとに具体的にご案内していきます。内容は、堀口先生へのインタビュー結果をまとめたものです。

漢方的には、汗をかく原因を分類するところからはじめます。
まずは、精神的な面であるストレスや緊張です。誰でも緊張すると汗は出ますが、過度に出る場合には多汗症という病名がつきます。
次にホルモンの影響で汗が多く出る場合があります。特に、上半身や頭から汗が出るホットフラッシュが有名です。甲状腺の亢進で、全身から汗が出てくるというものです。
もう一つは、太っている方の全身から出る汗です。更には、寝汗や冷や汗といった場合は、狭心症の影響によることもあります。
それでは、証ごとに見ていきましょう。
①気滞タイプの多汗症
精神的な緊張がある方です。
体を巡っている気が、緊張により停滞し、手のひらなどから汗が出ます。このような方に有効な漢方薬です。
②血瘀タイプの多汗症
ホルモンのバランスを欠いている方です。血液の流れが悪いタイプです。
特に女性ホルモンとの関係も深く、自律神経の乱れによって発汗します。汗は、全身よりも頭部から出るケースが多いです。
このタイプには、こちらがいい。
③湿熱タイプの多汗症
肥満タイプで、体に脂肪が多くついています。
このタイプは、全身から汗をかくとともに、頭、背中、お腹からも汗が出ます。代謝は上がっているのですが、体内の代謝が悪い状態です。
脂肪がついていて、体に熱を溜めてしまっていますので、これを排除する漢方薬を用います。
④気虚又は陰虚タイプの多汗症
体力が落ちているタイプで、寝汗をかきます。
ぼういが入っていて、皮膚の汗を閉める次の漢方薬が有効です。
証は一つでない
あなたの証が、上記のように一つであれば、漢方薬も処方しやすくなります。
→ご自身の証を確認したい場合は、体質チェックをお試しください。
ただ、これまでのうち漢方の患者さんの「証判定の結果」をみると、一つの証に分類できない例が目立ちます。また、多汗症だけでなく、複数の症状やお悩みをもっている方が多いことがわかりました。
私たち人間は、一人としてまったく同じ悩みや証を抱えていることはありません。だから、本当はあなたに合った漢方薬は、これとこれ!とお決めするのが、治療を行う側の役割なのでしょう。
しかし、そうは言っても、お一人ずつの相談をうかがって先生が漢方処方をしていくとなると、「相談料」や「カウンセリング料」が発生してしまいます。
そこで、何とかご自身で見つけられる方法はないかと考え、実際にあったご相談例と、堀口先生が処方した漢方薬を、個人情報をしっかり保護した上で「公開」することにしました。
あなたのお悩みの症状や証に近いご相談事例があれば、そこで処方された漢方薬が参考になろうかと存じます。
多汗症の相談例
では具体的に、相談内容、先生の解説、処方の漢方薬などをご紹介していきます。
なお、証判定の結果や、詳しい相談内容をご覧になりたい場合は、各相談者の表題にリンクを貼っていますのでご覧ください。
40歳女性(血虚・気滞)の例
〇ご相談内容
緊張性の多汗症です。 全身にかきますが、特に頭部と顔がひどいです。 20歳くらいから。 3年程前に別の薬局で処方してもらっていた漢方を煎じて飲んでいて、いくらか症状は軽減しましたが、やめてからまた出てくる様になりました。
婦人科の不調についてですが、生理は20年ぐらいずっと不順でしたが、ここ半年くらいは周期が安定してきております。 婦人科検診(子宮頸癌と子宮癌、乳がん検査)は、毎年やっていますが特に不具合は見つかっていないです。生理痛と、生理前の体調不良は強いほうです。 生理痛は1日目~2日目ぐらいまで、薬を指定量以上飲まないと日常生活に不調をきたすくらいの重さです。
〇先生の解説
頭や顔が特に多いとのことは、ホルモンによる影響が大きいでしょう。血虚の影響ですね。
酸素や栄養分を供給する血が不足すると、ホルモンや自律神経の働きが上手く伝達されなくなります。さらに血液は、脳や内臓の働きを応援しながら、冷却する作用もあります。機械がフル稼働すると熱を発すように、人間の脳や内臓もフル稼働すると熱くなるのです。血液は、このような余熱を冷却する作用もあるのです。
血虚体質の方は、身体に熱を持つと、冷めにくいのです。ですから多汗の快方へは血虚の改善は必須ですね。それと気滞を改善していくことも必要ですね。緊張感やイライラ感を少しでも軽減する、次の漢方薬の組み合わせがよいです。
柴胡加竜骨牡蠣湯は、心身の緊張を緩和して、肩のコリやイライラ感などを鎮めます。女神散は、ホルモンと自律神経の働きを調整して、頭部の熱感やのぼせなどを改善します。
〇処方された漢方薬
まとめ
多汗症を漢方薬で治したいのであれば、証を間違ってはいけません。
多汗症でお悩みの方がなりがちな3つの証と、漢方薬を押さえておきましょう。
①気滞タイプの多汗症
この情報を共有いただけたら幸いです。
堀口先生に漢方処方を依頼するサービス
あなたの証に合った漢方薬は見つかりましたでしょうか?
もしもあなたが複数のつらい症状を抱えていて、治療だけでなく体質改善も進めたいのであれば、漢方薬の選定は慎重に行う必要があります。例えば、漢方の専門家に処方を任せるのも一案かと思います。
堀口和彦先生(経歴)
うち漢方.comの専属薬剤師(昭和38年さいたま市生まれ)
平成7年にさいたま市で漢方専門「光和堂薬局」を開業(院長)、鍼灸治療院も併設
漢方210処方生薬解説、やさしい漢方入門、パプアニューギニアの薬草文化、鍼のエビデンス等の著書
![]()