産後のお悩みに効く漢方薬!どれを選べばいいの?

基準となる漢方薬
まずは、国がお墨付きを与えている産後のお悩みに有効な漢方薬をご紹介します。厚生労働省が定めている一般用漢方製剤承認基準という薬局メーカーが漢方薬を作るための基準です。
この基準にある〔効能・効果〕から「産後」を検索すれば、その答えが出てきます。ここでは、次の4種類の漢方薬を抽出しました。
産後のお悩みの漢方薬は同じ?
では、誰もが基準となる漢方薬で、産後のお悩みが解決するのでしょうか?
そんなことはありません。一人ひとりの体質はあまり考慮せず、症状に合わせてお薬を決めるというのは、西洋医学の考え方です。東洋医学を根拠にする漢方薬は、必ずしも「症状=薬」ではありません。
同病異治をご存知ですか。
これは、「同じ病気でも、異なる治療を行う。」という東洋医学の教えです。この教えに沿えば、産後のお悩みに悩む患者さんは、一律に同じ漢方薬を使うということはありません。
漢方治療は、表面上の病気を治療するというよりも、その人特有の原因を分析し、その原因を取り除くという発想で根本治療を進めるからです。
産後に有効な漢方薬はこれ!と決め付けずに、まずは、症状に至った原因を探ることが大切になってきます。ただ、原因を把握するというのはとても難しいことです。
そこで、原因を探る有効な手段として用いるのが、今の自分の体質を知るということです。体質や気質のことを東洋医学では、証(しょう)と呼んでいます。
この証は、私たちの過去の生活習慣の積み重ねからできていますので、ある時点の証を見出すことで、その病気に至った原因をも読み取ることができるのです。
現在の状況から、過去の原因を見出すのです。
はじめに、証の決め手となる4つの重要な要素を確認しておきます。
この歪んだ状態を、うち漢方では、「8つの証」に分類しています。

不足している状態は次のとおりです。
証に合わない漢方薬を服用すると、効かないどころか、副作用を起こす可能性があるので注意が必要です。
また、証は一つとは限らず複数が同時に現れることがあります。また時間の経過とともに、証は変化していきますので、漢方薬も証の変化に合わせて変えていく必要があります。
証については、次の動画で、うち漢方の専属薬剤師である「堀口和彦先生」が詳しく解説しています。お時間のあるときにご覧いただければ、深いところでご理解いただけるかと思います。
産後によくなる証
ここからは、出産後の困った症状に効く漢方薬について、証ごとに具体的にご案内していきます。内容は、堀口先生へのインタビュー結果をまとめたものです。

産後に起こる様々な症状を、漢方薬で解決されたいと願う方はとても多いです。
例えば、出産後にお悩みになる症状には、意欲の低下やイライラなどのストレス系、乳腺炎、そして意外と多いのが親指などの腱鞘炎があります。
①気虚タイプの産後
出産後に意欲低下が起こったり、精神的な落ち込みに至る女性は多いものです。この場合の証は、気虚です。
出産は、体力消耗が激しく起ります。そのため、本来は、3週間から一月ぐらいは、しっかりと休息いただきたいところです。しかし、忙しい現代、なかなか休めない方もいらっしゃいます。
また、休んではいるのものの、赤ちゃんのことや今後の将来のこと、そしてご自身の体のことなどのお悩みから、精神が落ち込みむこともあります。漢方では、このような事象を気虚といいます。
意欲低下が起こったり、精神的な落ち込みには、次の漢方薬がおススメです。
②気滞タイプの産後
気があまり気味の状態で、かつ停滞している状態です。
症状としては、怒りっぽくなってイライラします。また、過食になってしまう人も多いです。このようなタイプには、次の漢方薬がおススメです。
③血虚タイプの産後
出産によって血液を失い、そのまま血が不足しているタイプです。
体の中で炎症が起っている状態で、乳腺炎や腱鞘炎が症状として現れます。母乳で血液成分が赤ちゃんに吸われるのに加え、このタイプの方は、体の筋肉や乳腺の潤いがなくなってくるので、体が燃えやすくなってきます。その結果、体の中に炎症が起こるのです。
次の漢方薬がおススメです。
証は一つでない
あなたの証が、上記のように一つであれば、漢方薬も処方しやすくなります。
→ご自身の証を確認したい場合は、体質チェックをお試しください。
ただ、これまでのうち漢方の患者さんの「証判定の結果」をみると、一つの証に分類できない例が目立ちます。また、産後のお悩みだけでなく、複数の症状やお悩みをもっている方が多いことがわかりました。
私たち人間は、一人としてまったく同じ悩みや証を抱えていることはありません。だから、本当はあなたに合った漢方薬は、これとこれ!とお決めするのが、治療を行う側の役割なのでしょう。
しかし、そうは言っても、お一人ずつの相談をうかがって先生が漢方処方をしていくとなると、「相談料」や「カウンセリング料」が発生してしまいます。
そこで、何とかご自身で見つけられる方法はないかと考え、実際にあったご相談例と、堀口先生が処方した漢方薬を、個人情報をしっかり保護した上で「公開」することにしました。
あなたのお悩みの症状や証に近いご相談事例があれば、そこで処方された漢方薬が参考になろうかと存じます。
産後の相談例
では具体的に、相談内容、先生の解説、処方の漢方薬などをご紹介していきます。
なお、証判定の結果や、詳しい相談内容をご覧になりたい場合は、各相談者の表題にリンクを貼っていますのでご覧ください。
29歳女性(気虚・血虚)の例
〇ご相談内容
産後一ヶ月のため体力・気力の回復望みます。イライラしやすく不安感を伴いやすい性質は妊娠前からですが、産後はひどくなっています。イライラ・不安・不眠に効いて産後に合ったものを探しています。授乳中です。
出産は、安産でした。今回は二人目で、出血は割りと多かったですが、一人目は1リットルほどでしたが今回は600ccほどで前回ほどではなかったです。母乳の出はいいほうだと思います。不眠は、熟睡できないのは子どもが起きるから仕方ない部分もあるのですが、眠りが浅くどちらかというと疲れていて寝たいのに神経の高ぶりなのか入眠が困難です。
〇先生の解説
証判定の結果に、気虚と血虚の両方が高く出ています。
出産時は、出血や発汗がありますので、血を失い、体力気力が消耗します。芎帰調血飲は、産後の体力気力を補い復活させるのに最適な漢方薬です。授乳中でももちろん安心ですし、乳腺炎の予防にもなります。
まずは芎帰調血飲で産後の気力体力を回復しましょう。睡眠に関しては、加味帰脾湯がよいと思います。
〇処方された漢方薬
まとめ
産後のお悩みを漢方薬で治したいのであれば、証を間違ってはいけません。
産後のお悩みでお悩みの方がなりがちな3つの証と、漢方薬を押さえておきましょう。
①気虚タイプの産後
この情報を共有いただけたら幸いです。
堀口先生に漢方処方を依頼するサービス
あなたの証に合った漢方薬は見つかりましたでしょうか?
もしもあなたが複数のつらい症状を抱えていて、治療だけでなく体質改善も進めたいのであれば、漢方薬の選定は慎重に行う必要があります。例えば、漢方の専門家に処方を任せるのも一案かと思います。
堀口和彦先生(経歴)
うち漢方.comの専属薬剤師(昭和38年さいたま市生まれ)
平成7年にさいたま市で漢方専門「光和堂薬局」を開業(院長)、鍼灸治療院も併設
漢方210処方生薬解説、やさしい漢方入門、パプアニューギニアの薬草文化、鍼のエビデンス等の著書
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