めまいに効く漢方薬!どれを選べばいいの?

基準となる漢方薬
まずは、国がお墨付きを与えているめまいに有効な漢方薬をご紹介します。厚生労働省が定めている一般用漢方製剤承認基準という薬局メーカーが漢方薬を作るための基準です。
この基準にある〔効能・効果〕から「めまい」を検索すれば、その答えが出てきます。ここでは、次の12種類の漢方薬を抽出しました。
めまいの漢方薬はどれでもいい?
一つ一つ表示の効果・効能などをチェックして、自分にあってそうなものを選べばめまいが治るのでしょうか?
そんなことはありません。一人ひとりの体質はあまり考慮せず、症状に合わせてお薬を決めるというのは、西洋医学の考え方です。東洋医学を根拠にする漢方薬は、必ずしも「症状=薬」ではありません。
同病異治をご存知ですか。
これは、「同じ病気でも、異なる治療を行う。」という東洋医学の教えです。この教えに沿えば、めまいに悩む患者さんは、一律に同じ漢方薬を使うということはありません。
漢方治療は、表面上の病気を治療するというよりも、その人特有の病気に至った原因を分析し、その原因を取り除くという発想で根本治療を進めるからです。
カタログ表示の内容から、めまいだからこの漢方薬!と決め付けずに、まずは、めまいに至った原因を探ることが大切になってきます。
ただ、原因を把握するというのはとても難しいことです。病気になった時期は何となく覚えていたとしても、ここ数ヶ月間の食事内容、運動で消費したカロリー、睡眠の質などは覚えている方は少ないでしょう。
そこで、原因を探る有効な手段として用いるのが、今の自分の体質を知るということです。体質や気質のことを東洋医学では、証(しょう)と呼んでいます。
この証は、私たちの過去の生活習慣の積み重ねからできていますので、ある時点の証を見出すことで、その病気に至った原因をも読み取ることができるのです。
現在の状況から、過去の原因を見出すのです。
はじめに、証の決め手となる4つの重要な要素を確認しておきます。
この歪んだ状態を、うち漢方では、「8つの証」に分類しています。

不足している状態は次のとおりです。
証に合わない漢方薬を服用すると、効かないどころか、副作用を起こす可能性があるので注意が必要です。
また、証は一つとは限らず複数が同時に現れることがあります。また時間の経過とともに、証は変化していきますので、漢方薬も証の変化に合わせて変えていく必要があります。
証については、次の動画で、うち漢方の専属薬剤師である「堀口和彦先生」が詳しく解説しています。お時間のあるときにご覧いただければ、深いところでご理解いただけるかと思います。
めまいの証
ここからは、めまいに効く漢方薬について、証ごとに具体的にご案内していきます。内容は、堀口先生へのインタビュー結果をまとめたものです。

めまいの原因は、東洋医学では、大きく3つのことが関与していると捉えます。
一つ目は、耳の中にある三半規管である体の平衡感覚を察知するセンサーの狂いです。感度が鈍ることや、敏感になりすぎて起こるめまいがこのタイプです。
三半規管には、リンパ液が満たされ、石が浮いている状態になることによって平衡感覚が保たれています。しかし、体内の水分代謝が悪くなると、耳の中の水の圧力が変化することや、余分に溜まってしまうことがあります。このことが引き金となってめまいが起こります。
二つ目は、血圧が要因になって起こるめまいです。血圧が高いときは、ふわふわするめまいが起こります。また、低血圧だと、立っていられないようなめまいが起こります。
漢方では、血の循環が悪くなり、滞ることが血圧に影響すると考えます。血が不足することや、耳のセンサーに栄養分が行かなくなると、平衡感覚が悪くなるのです。
三つ目は、自律神経の乱れによって起こるめまいです。ストレスや過労、頚椎のコリや肩こりによって自律神経が刺激されて引き起こされます。
漢方では、気の影響を捉えます。気は、体を動かすエネルギーでもあり、精神的な要素でもあります。ストレスによって気が滞ることなどが原因となります。
この3つの区分を、漢方の証に照らしながら解説していきます。
①湿痰タイプのめまい
湿痰とは、水の停滞や不足などが体内で起こっている状態です。いわゆる湿り気が多くなっています。
耳の中でも水分が停滞して、腫れているような状態です。
例えば、ぐるぐるするようなめまいやメニエールともいわれる回転性のめまいは、このタイプです。このような方で、ちょっと気持ちが悪い、吐き気がする、突発性のめまいがある方には、次の漢方薬が有効です。
②血虚タイプのめまい
血虚とは、体内の血液が不足しているタイプで、貧血に近い状態のことです。
耳にも血が不足していることから、酸素や栄養分を耳付近に十分に送り込むことができません。一般的には、血が不足することで低血圧などがなりやすくなっています。このようなタイプの方には、次の漢方薬がおススメです。
③血瘀タイプのめまい
血瘀とは、血が余って停滞しているタイプをいいます。
高血圧気味で、歩いていると、ふわふわするタイプが多いです。処方としては、次の漢方薬があります。
④気滞タイプのめまい
気滞とは、ストレスなどによって、自律神経の働きが乱れ、気が滞っている状態です。緊張を伴います。
特に、女性の更年期などで、のぼせがありながら、めまいが起こるタイプによく効く漢方薬をご紹介します。
証は一つでない
あなたの証が、上記のように一つであれば、漢方薬も処方しやすくなります。
→ご自身の証を確認したい場合は、体質チェックをお試しください。
ただ、これまでのうち漢方の患者さんの「証判定の結果」をみると、一つの証に分類できない例が目立ちます。また、めまいだけでなく、複数の症状やお悩みをもっている方が多いことがわかりました。
私たち人間は、一人としてまったく同じ悩みや証を抱えていることはありません。だから、本当はあなたに合った漢方薬は、これとこれ!とお決めするのが、治療を行う側の役割なのでしょう。
しかし、そうは言っても、お一人ずつの相談をうかがって先生が漢方処方をしていくとなると、「相談料」や「カウンセリング料」が発生してしまいます。
そこで、何とかご自身で見つけられる方法はないかと考え、実際にあったご相談例と、堀口先生が処方した漢方薬を、個人情報をしっかり保護した上で「公開」することにしました。
あなたのお悩みの症状や証に近いご相談事例があれば、そこで処方された漢方薬が参考になろうかと存じます。
めまいの相談例
では具体的に、相談内容、先生の解説、処方の漢方薬などをご紹介していきます。
なお、証判定の結果や、詳しい相談内容をご覧になりたい場合は、各相談者の表題にリンクを貼っていますのでご覧ください。
29歳女性(陰虚・気滞)の例
〇ご相談内容
めまい、頭痛、のぼせ、疲れ目で悩んでいます。
10代の時からにきびがひどく、首から上に熱感があって顔が赤く、特に午後になると前頭部の水分が沸騰しているかのように熱くなって頭痛がします。また目の乾燥、充血もひどいです。
手足がほてり、便秘はありませんが痔気味です。1年ほど前から清上防風湯を飲んでいて、にきびや熱感は緩和されました。しかし熱っぽさや頭痛、目の充血が残っていて、数は減りましたがにきびも消えません。口渇はひどくなった気がします。
〇先生の解説
証判定の結果を拝見すると、陰虚と気滞が高く出ています。
心身の潤いの無さが陰虚となっているようです。心身の潤いが無いと精神的に余裕がなくなり、のぼせや頭部熱感、頭痛が生じます。この心身の潤いを与えるために、柴胡加竜骨牡蠣湯を選びましょう。のぼせとめまいを鎮める女神散を組み合わせます。
女神散は、ホルモンと自律神経の働きを調整して、のぼせや火照りも緩和します。睡眠も熟睡感が増すと思います。
〇処方された漢方薬
まとめ
めまいを漢方薬で治したいのであれば、証を間違ってはいけません。
めまいでお悩みの方がなりがちな4つの証と、漢方薬を押さえておきましょう。
①湿痰タイプ
この情報を共有いただけたら幸いです。
堀口先生に漢方処方を依頼するサービス
あなたの証に合った漢方薬は見つかりましたでしょうか?
もしもあなたが複数のつらい症状を抱えていて、治療だけでなく体質改善も進めたいのであれば、漢方薬の選定は慎重に行う必要があります。例えば、漢方の専門家に処方を任せるのも一案かと思います。
堀口和彦先生(経歴)
うち漢方.comの専属薬剤師(昭和38年さいたま市生まれ)
平成7年にさいたま市で漢方専門「光和堂薬局」を開業(院長)、鍼灸治療院も併設
漢方210処方生薬解説、やさしい漢方入門、パプアニューギニアの薬草文化、鍼のエビデンス等の著書
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