狭心症、心筋梗塞に効く漢方薬!どれを選べばいいの?

基準となる漢方薬
まずは、国がお墨付きを与えている心臓衰弱に有効な漢方薬をご紹介します。厚生労働省が定めている一般用漢方製剤承認基準という薬局メーカーが漢方薬を作るための基準です。
この基準にある〔効能・効果〕から「心臓衰弱」を検索すれば、その答えが出てきます。ここでは、次の1種類の漢方薬を抽出しました。残念ながら、狭心症や心筋梗塞では、表示がありませんでした。
狭心症、心筋梗塞の漢方薬は?
では、誰もが基準となる漢方薬で、心臓衰弱に伴う狭心症や心筋梗塞が治るのでしょうか?
そんなことはありません。一人ひとりの体質はあまり考慮せず、症状に合わせてお薬を決めるというのは、西洋医学の考え方です。東洋医学を根拠にする漢方薬は、必ずしも「症状=薬」ではありません。
同病異治をご存知ですか。
これは、「同じ病気でも、異なる治療を行う。」という東洋医学の教えです。この教えに沿えば、狭心症、心筋梗塞に悩む患者さんは、一律に同じ漢方薬を使うということはありません。
漢方治療は、表面上の病気を治療するというよりも、その人特有の病気に至った原因を分析し、その原因を取り除くという発想で根本治療を進めるからです。
狭心症、心筋梗塞だからこの漢方薬!と決め付けずに、まずは、狭心症、心筋梗塞に至った原因を探ることが大切になってきます。
ただ、原因を把握するというのはとても難しいことです。病気になった時期は何となく覚えていたとしても、ここ数ヶ月間の食事内容、運動で消費したカロリー、睡眠の質などは覚えている方は少ないでしょう。
そこで、原因を探る有効な手段として用いるのが、今の自分の体質を知るということです。体質や気質のことを東洋医学では、証(しょう)と呼んでいます。
この証は、私たちの過去の生活習慣の積み重ねからできていますので、ある時点の証を見出すことで、その病気に至った原因をも読み取ることができるのです。
現在の状況から、過去の原因を見出すのです。
はじめに、証の決め手となる4つの重要な要素を確認しておきます。
この歪んだ状態を、うち漢方では、「8つの証」に分類しています。

不足している状態は次のとおりです。
証に合わない漢方薬を服用すると、効かないどころか、副作用を起こす可能性があるので注意が必要です。
また、証は一つとは限らず複数が同時に現れることがあります。また時間の経過とともに、証は変化していきますので、漢方薬も証の変化に合わせて変えていく必要があります。
証については、次の動画で、うち漢方の専属薬剤師である「堀口和彦先生」が詳しく解説しています。お時間のあるときにご覧いただければ、深いところでご理解いただけるかと思います。
狭心症、心筋梗塞の証
ここからは、狭心症、心筋梗塞に効く漢方薬について、証ごとに具体的にご案内していきます。内容は、堀口先生へのインタビュー結果をまとめたものです。

狭心症、心筋梗塞といった重い症状は、漢方薬で治るのでしょうか。
漢方では、血管そのものが詰まっていない状態か、一時的に血管が痙攣を起こして収縮した結果、心臓の筋肉である心筋に血を供給できない状態であるならば、治すことが可能です。
例えば、微小血管狭心症などは、かなり漢方で改善されます。
一方、漢方で治せない領域は、血管が完全に詰まって壊死するような状態です。この場合は、病院に行くことをおススメします。
では、ここからはタイプごとの漢方薬をご紹介します。
①気滞タイプの狭心症、心筋梗塞
気滞とは、気が停滞している状態です。ストレスが体に溜まっている状態ともいえます。
精神的にも緊張して、肩や背中、胸などが固くなり、心臓を動かす力がかなり狭められています。いわゆるがちがちになっている状態です。このような場合には、次の漢方薬を使います。
②血瘀タイプの狭心症、心筋梗塞
血瘀とは、血の流れが悪い状態です。これがひどくなると心筋梗塞へつながっていきます。
さて、狭心症も更年期の女性の多く見受けられます。女性ホルモンと心臓に血液を送る役割のある冠動脈の収縮とが、どうやら関係しているようです。
このようなことから、更年期に起こる胸の痛さや動悸、圧迫感を治す漢方薬が、狭心症や心筋梗塞に有効と考えます。例えば、次の漢方薬がこのタイプに使えます。
③血虚タイプの狭心症、心筋梗塞
血虚とは、血液の循環が悪いのは共通ですが、血が少なく流れにくいタイプになります。
このタイプで、貧血、立ちくらみ、冷え、胸が苦しい、動悸がする、不安感がって夜どきどきするタイプには、次の漢方薬が効きます。
④湿熱タイプの狭心症、心筋梗塞
体内に、水分や熱などの老廃物が溜まっているタイプが湿熱です。メタボ体質といえます。
このタイプは、中性脂肪やこれストロールなどが体内の中に老廃物として溜まって、しかも停滞しているタイプです。流れが悪くて、血圧も上がってきます。
まさに、心筋梗塞予備軍です。
次の漢方薬で、新陳代謝を上げて、排泄する物を増やします。結果として、血液をきれいにして血管を詰まりづらくします。
証は一つでない
あなたの証が、上記のように一つであれば、漢方薬も処方しやすくなります。
→ご自身の証を確認したい場合は、体質チェックをお試しください。
ただ、これまでのうち漢方の患者さんの「証判定の結果」をみると、一つの証に分類できない例が目立ちます。また、狭心症、心筋梗塞だけでなく、複数の症状やお悩みをもっている方が多いことがわかりました。
私たち人間は、一人としてまったく同じ悩みや証を抱えていることはありません。だから、本当はあなたに合った漢方薬は、これとこれ!とお決めするのが、治療を行う側の役割なのでしょう。
しかし、そうは言っても、お一人ずつの相談をうかがって先生が漢方処方をしていくとなると、「相談料」や「カウンセリング料」が発生してしまいます。
そこで、何とかご自身で見つけられる方法はないかと考え、実際にあったご相談例と、堀口先生が処方した漢方薬を、個人情報をしっかり保護した上で「公開」することにしました。
あなたのお悩みの症状や証に近いご相談事例があれば、そこで処方された漢方薬が参考になろうかと存じます。
狭心症、心筋梗塞の相談例
では具体的に、相談内容、先生の解説、処方の漢方薬などをご紹介していきます。
なお、証判定の結果や、詳しい相談内容をご覧になりたい場合は、各相談者の表題にリンクを貼っていますのでご覧ください。
66歳男性(陽虚・血虚・陰虚)の例
〇ご相談内容
急性の狭心症にて心筋梗塞になるとのことで手術を足から受け2ヶ月以上になり、朝食後バイアスピリン100mg、ランソプラゾールOD錠15mg各1回1錠 夕食後クレストール錠2.5mg1回2錠を飲むように言われています。
血圧が最近高くなります。血栓が冠動脈の奥の細い枝先に溜まっているようです。良い漢方薬ありませんでしょうか?
〇先生の解説
証判定の結果にも、陽虚や血虚、陰虚と高く出ており、元気や体内の血や体液などが不足している状態を示しています。
漢方薬は、黄連解毒湯と柴胡加竜骨牡蠣湯を組み合わせてご用意します。いずれの処方も血圧を下げ、精神的に安定させる作用があります。病院の薬と併用しても大丈夫です。
血行を改善し、心筋梗塞などによい冠心調血飲という処方を選びましょう。
冠心調血飲は、丹参という生薬が配合されており、血栓などを溶かし流す作用があるといわれています。柴胡加竜骨牡蠣湯は、自律神経に働きかけて、心臓の働きを活性化します。
〇処方された漢方薬
まとめ
狭心症、心筋梗塞を漢方薬で治したいのであれば、証を間違ってはいけません。
狭心症、心筋梗塞でお悩みの方がなりがちな4つの証と、漢方薬を押さえておきましょう。
①気滞タイプ
この情報を共有いただけたら幸いです。
堀口先生に漢方処方を依頼するサービス
あなたの証に合った漢方薬は見つかりましたでしょうか?
もしもあなたが複数のつらい症状を抱えていて、治療だけでなく体質改善も進めたいのであれば、漢方薬の選定は慎重に行う必要があります。例えば、漢方の専門家に処方を任せるのも一案かと思います。
堀口和彦先生(経歴)
うち漢方.comの専属薬剤師(昭和38年さいたま市生まれ)
平成7年にさいたま市で漢方専門「光和堂薬局」を開業(院長)、鍼灸治療院も併設
漢方210処方生薬解説、やさしい漢方入門、パプアニューギニアの薬草文化、鍼のエビデンス等の著書
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