過食に効く漢方薬!どれを選べばいいの?

基準となる漢方薬
まずは、国がお墨付きを与えている肥満症に有効な漢方薬をご紹介します。厚生労働省が定めている一般用漢方製剤承認基準という薬局メーカーが漢方薬を作るための基準です。
この基準にある〔効能・効果〕から「肥満」を検索すれば、その答えが出てきます。ここでは、次の2種類の漢方薬を抽出しました。
過食の漢方薬は同じ?
では、誰もが基準となる漢方薬で、過食が治るのでしょうか?
そんなことはありません。一人ひとりの体質はあまり考慮せず、症状に合わせてお薬を決めるというのは、西洋医学の考え方です。東洋医学を根拠にする漢方薬は、必ずしも「症状=薬」ではありません。
同病異治をご存知ですか。
これは、「同じ病気でも、異なる治療を行う。」という東洋医学の教えです。この教えに沿えば、過食に悩む患者さんは、一律に同じ漢方薬を使うということはありません。
漢方治療は、表面上の病気を治療するというよりも、その人特有の病気に至った原因を分析し、その原因を取り除くという発想で根本治療を進めるからです。
過食だからこの漢方薬!と決め付けずに、まずは、過食により肥満に至った原因を探ることが大切になってきます。
ただ、原因を把握するというのはとても難しいことです。病気になった時期は何となく覚えていたとしても、ここ数ヶ月間の食事内容、運動で消費したカロリー、睡眠の質などは覚えている方は少ないでしょう。
そこで、原因を探る有効な手段として用いるのが、今の自分の体質を知るということです。体質や気質のことを東洋医学では、証(しょう)と呼んでいます。
この証は、私たちの過去の生活習慣の積み重ねからできていますので、ある時点の証を見出すことで、その病気に至った原因をも読み取ることができるのです。
現在の状況から、過去の原因を見出すのです。
はじめに、証の決め手となる4つの重要な要素を確認しておきます。
この歪んだ状態を、うち漢方では、「8つの証」に分類しています。

不足している状態は次のとおりです。
証に合わない漢方薬を服用すると、効かないどころか、副作用を起こす可能性があるので注意が必要です。
また、証は一つとは限らず複数が同時に現れることがあります。また時間の経過とともに、証は変化していきますので、漢方薬も証の変化に合わせて変えていく必要があります。
証については、次の動画で、うち漢方の専属薬剤師である「堀口和彦先生」が詳しく解説しています。お時間のあるときにご覧いただければ、深いところでご理解いただけるかと思います。
過食の証
ここからは、過食に効く漢方薬について、証ごとに具体的にご案内していきます。内容は、堀口先生へのインタビュー結果をまとめたものです。

過食とは、食べすぎのこと。
食欲の中枢は、大脳の下の視床という部分に、食欲や満腹を感じるセンサーがあります。この食欲中枢には、自律神経が通っています。自律神経は、内臓の働きを調整し、コントロールする役割があり、ここが影響を受けると、食行動に移ります。
過食は、大きく3つのタイプに分かれます。
一番目は、ストレスの影響で、過食行動につながるタイプです(気滞)。
二番目は、女性ホルモンの影響で、生理前に過食行動になるタイプです(血虚)。視床下部には、脳下垂体というホルモンのコントロールセンターがあります。
三番目は、脂肪細胞の関係で、過食に行動につながるタイプです(湿熱)。肥満になることにより、体の中の脂肪細胞が体の食欲中枢を乱します。
では、具体的にタイプ別に説明します。
①気滞タイプの過食
ストレスからくる過食です。気滞は、気が停滞するという意味です。
このタイプは、ストレスを受けると自律神経を乱されます。時には、緊張して動悸をしたり、イライラしたり、血圧が上がってきます。これらが継続して起こると、食欲の中枢を乱して、過食に走るのです。
いわゆるストレス喰いです。
ストレスで怒りっぽくなるタイプには、次の漢方薬が有効です。
②血虚タイプの過食
二番目は、女性ホルモンなどの影響によって、過食に走るタイプで、漢方では、血虚に当たります。血が体内に少ないタイプです。
女性の場合、生理前は、月経に向けて血液を失うので、体力維持のため過食気味になります。食欲が旺盛になるのです。その時期に、多少過剰になるのがこのタイプです。
血が不足気味だから、体が生理に向けて体力を付けようとする動物的な作用であり、血の不足を補おうとします。ホルモンの働きが食欲中枢を刺激し、過食傾向になるのを抑える漢方薬はこちらです。
③湿熱タイプの過食
脂肪細胞が影響して肥満体質となっているタイプで、湿熱といいます。
体の中に余分な水分と熱があり炎症を起こしています。むくみが生じ、いろいろなものが体内に停滞している感じがします。
このタイプで、排泄をよくして、脂肪細胞や内臓脂肪を減らし食欲を抑える漢方薬です。解毒代謝を促進し、多少便秘のある方にも有効です。
証は一つでない
あなたの証が、上記のように一つであれば、漢方薬も処方しやすくなります。
→ご自身の証を確認したい場合は、体質チェックをお試しください。
ただ、これまでのうち漢方の患者さんの「証判定の結果」をみると、一つの証に分類できない例が目立ちます。また、過食だけでなく、複数の症状やお悩みをもっている方が多いことがわかりました。
私たち人間は、一人としてまったく同じ悩みや証を抱えていることはありません。だから、本当はあなたに合った漢方薬は、これとこれ!とお決めするのが、治療を行う側の役割なのでしょう。
しかし、そうは言っても、お一人ずつの相談をうかがって先生が漢方処方をしていくとなると、「相談料」や「カウンセリング料」が発生してしまいます。
そこで、何とかご自身で見つけられる方法はないかと考え、実際にあったご相談例と、堀口先生が処方した漢方薬を、個人情報をしっかり保護した上で「公開」することにしました。
あなたのお悩みの症状や証に近いご相談事例があれば、そこで処方された漢方薬が参考になろうかと存じます。
過食(肥満)の相談例
では具体的に、相談内容、先生の解説、処方の漢方薬などをご紹介していきます。
なお、証判定の結果や、詳しい相談内容をご覧になりたい場合は、各相談者の表題にリンクを貼っていますのでご覧ください。
24歳女性(血虚)の例
〇ご相談内容
過食、肥満です。以前、他の漢方薬局さんで自律神経失調症と胃熱であると診断され大柴胡湯と黄連解毒湯を出されました。 効果抜群で、食欲も落ち着き体も大変軽く感じ1週間で15kgほど減ったのですが2週間目ぐらいから耐性ができたかのように効果が感じられなくなり食欲も戻ってしまいました。副作用の食欲不振だったのかもしれません。
1ヶ月経ってからまた試してみても以前のような効果はありませんでした。 午前中は体がだるく、16時ごろから元気が出てきます。また、低血圧と貧血で献血を断られます。
この季節、家族と一緒にリビングにいると私だけTシャツですし暖房も消してほしいくらい暑がりです。脂肪が多いからかもしれません。一方、手足は家族の誰よりも冷たいです。 発汗もとてもよいです。(今の時期はあまりかきません。) お腹、太ももが顕著ですが、全体的にがっちりしています。(運動、筋トレしています。)
〇先生の解説
ストレス的な要素がないとすると、ホルモンと満腹中枢の問題ですね。生理前には過食がさらに悪化するようです。となると、ホルモンバランスを整えることに、重点を置くことがよいです。
証判定の結果も血虚が高いですので、婦人科とホルモンを調整しましょう。女神散などがお勧めです
〇処方された漢方薬
女神散は、気滞を改善する漢方です。血虚もありますし、過食は気滞と捉えますので、お勧めです。
まとめ
過食を漢方薬で治したいのであれば、証を間違ってはいけません。
過食でお悩みの方がなりがちな3つの証と、漢方薬を押さえておきましょう。
①気滞タイプ
この情報を共有いただけたら幸いです。
堀口先生に漢方処方を依頼するサービス
あなたの証に合った漢方薬は見つかりましたでしょうか?
もしもあなたが複数のつらい症状を抱えていて、治療だけでなく体質改善も進めたいのであれば、漢方薬の選定は慎重に行う必要があります。例えば、漢方の専門家に処方を任せるのも一案かと思います。
堀口和彦先生(経歴)
うち漢方.comの専属薬剤師(昭和38年さいたま市生まれ)
平成7年にさいたま市で漢方専門「光和堂薬局」を開業(院長)、鍼灸治療院も併設
漢方210処方生薬解説、やさしい漢方入門、パプアニューギニアの薬草文化、鍼のエビデンス等の著書
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