肌荒れに効く漢方薬!どれを選べばいいの?

基準となる漢方薬
まずは、少々行き過ぎかもしれませんが、肌荒れを病気として捉えると、国がお墨付きを与えている皮膚病に有効な漢方薬などご紹介させてください。厚生労働省が定めている一般用漢方製剤承認基準という薬局メーカーが漢方薬を作るための基準です。
また、この基準にある〔効能・効果〕から「皮膚」を検索すると、もう少し幅広に答えが出てきます。ここでは、次の5種類の漢方薬を抽出しました。
肌荒れの漢方薬は同じ?
では、誰もが基準となる皮膚病から抽出した漢方薬で、肌荒れが治るのでしょうか?
そんなことはありません。一人ひとりの体質はあまり考慮せず、症状に合わせてお薬を決めるというのは、西洋医学の考え方です。東洋医学を根拠にする漢方薬は、必ずしも「症状=薬」ではありません。
同病異治をご存知ですか。
これは、「同じ病気でも、異なる治療を行う。」という東洋医学の教えです。この教えに沿えば、肌荒れに悩む患者さんは、一律に同じ漢方薬を使うということはありません。
漢方治療は、表面上の病気を治療するというよりも、その人特有の病気に至った原因を分析し、その原因を取り除くという発想で根本治療を進めるからです。
肌荒れだからこの漢方薬!と決め付けずに、まずは、肌荒れに至った原因を探ることが大切になってきます。
ただ、原因を把握するというのはとても難しいことです。病気になった時期は何となく覚えていたとしても、ここ数ヶ月間の食事内容、運動で消費したカロリー、睡眠の質などは覚えている方は少ないでしょう。
そこで、原因を探る有効な手段として用いるのが、今の自分の体質を知るということです。体質や気質のことを東洋医学では、証(しょう)と呼んでいます。
この証は、私たちの過去の生活習慣の積み重ねからできていますので、ある時点の証を見出すことで、その病気に至った原因をも読み取ることができるのです。
現在の状況から、過去の原因を見出すのです。
はじめに、証の決め手となる4つの重要な要素を確認しておきます。
この歪んだ状態を、うち漢方では、「8つの証」に分類しています。

不足している状態は次のとおりです。
証に合わない漢方薬を服用すると、効かないどころか、副作用を起こす可能性があるので注意が必要です。
また、証は一つとは限らず複数が同時に現れることがあります。また時間の経過とともに、証は変化していきますので、漢方薬も証の変化に合わせて変えていく必要があります。
証については、次の動画で、うち漢方の専属薬剤師である「堀口和彦先生」が詳しく解説しています。お時間のあるときにご覧いただければ、深いところでご理解いただけるかと思います。
肌荒れの証
ここからは、肌荒れに効く漢方薬について、証ごとに具体的にご案内していきます。内容は、堀口先生へのインタビュー結果をまとめたものです。

漢方では、肌荒れを陰虚として捕らえます。体の中の水分や養分が不足しているタイプです。
肌荒れは、皮膚表面の水分が不足していることから起こると考えます。西洋医学においても、アトピー性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎なども、皮膚表面のバリア機能の低下が引き金となると理論付けています。
このことは、東洋医学の陰虚と合致しています。
漢方は、なぜ肌荒れになったのか、ということを深いところで理解し治療していきます。
①血虚が加わった肌荒れ
水分の不足に加え、肌には血液がすごく重要です。
血液が上手に十分に、体内で供給できているかがポイントで、血が少ない血虚タイプは肌が荒れやすくなります。血の役割である皮膚表面に、栄養分や酸素が届かなければ、肌の潤いも減ってくることから、肌が荒れてくるのです。
このようなタイプには、次の漢方薬が有効です。
②血瘀タイプの肌荒れ
体内の血は不足していなくても、滞っていることが原因で肌荒れを起こします。それが、このタイプです。
血の流れが阻害され、肌に十分に行き届かないからです。また、血の停滞によって血液が汚れることは、肌荒れの原因につながります。このタイプの方は、肌はどちらかというと黒っぽく、日焼け色の方に多いです。シミやにきび、吹き出物が出るならこのタイプです。
そのようなタイプには、次の漢方薬が有効です。血行を良くし、血をきれいにします。
③気滞タイプの肌荒れ
精神的なストレスでも、肌荒れになります。頭に血が上ったり、カッかしたり、ほてりを感じるならば、気滞の症状です。
また、熱を帯びてくると、皮膚表面の潤いが蒸発によって少なくなります。皮膚表面が、水が少ない証である陰虚になっていくのです。
かゆみを伴って、異常に肌をかきむしってしまうことはありませんか。そうであるならば、このタイプの可能性が高いです。
これらのタイプの方には、次の漢方薬を使います。
証は一つでない
あなたの証が、上記のように一つであれば、漢方薬も処方しやすくなります。
→ご自身の証を確認したい場合は、体質チェックをお試しください。
ただ、これまでのうち漢方の患者さんの「証判定の結果」をみると、一つの証に分類できない例が目立ちます。また、肌荒れだけでなく、複数の症状やお悩みをもっている方が多いことがわかりました。
私たち人間は、一人としてまったく同じ悩みや証を抱えていることはありません。だから、本当はあなたに合った漢方薬は、これとこれ!とお決めするのが、治療を行う側の役割なのでしょう。
しかし、そうは言っても、お一人ずつの相談をうかがって先生が漢方処方をしていくとなると、「相談料」や「カウンセリング料」が発生してしまいます。
そこで、何とかご自身で見つけられる方法はないかと考え、実際にあったご相談例と、堀口先生が処方した漢方薬を、個人情報をしっかり保護した上で「公開」することにしました。
あなたのお悩みの症状や証に近いご相談事例があれば、そこで処方された漢方薬が参考になろうかと存じます。
肌荒れの相談例
では具体的に、相談内容、先生の解説、処方の漢方薬などをご紹介していきます。
なお、証判定の結果や、詳しい相談内容をご覧になりたい場合は、各相談者の表題にリンクを貼っていますのでご覧ください。
43歳女性(血虚・気滞・陰虚)の例
〇ご相談内容
一年前から顔の脂漏性湿疹で悩んでいます。だいぶましになりましたがまだまだ赤みがあり調子が悪いとブツブツがでます。生理前や排卵の時にひどくなるような気もします。鼻のまわり・顎が特にひどいです。また、舌の側に歯痕がつきます。
またビールは毎日2~3本飲みます。メニエールを4年前に発症しましたが目まいはそれ以来ありませんが耳鳴りやつまりはたまに出ます。その頃は自律神経失調ぎみでした。とりあえず今は肌の調子がよくなると嬉しいです。
鼻の付け根くらいのツーンとする痛みがあることを思い出しました、鼻水は全くありません。
〇先生の解説
証判定の結果を拝見すると、血虚が一番で陰虚と気滞も高く出ていますね。この場合の血虚は、皮膚へ新鮮な酸素と栄養分を十分に運ぶ血が不足していることを示しています。
陰虚は、皮膚などを潤す体液やリンパ液が不足していることを示します。荊芥連翹湯という漢方がお勧めです。この処方は、皮膚や粘膜を潤して炎症を取り、解毒する作用もありますので、ニキビや脂漏性湿疹の改善によいです。また、顔の赤みや熱感、イライラや不安感の解消には女神散がよいです。
鼻の付け根のツーンという痛みにも荊芥連翹湯はよいです。おそらく副鼻腔あたりの粘膜が乾燥し炎症を起こしていることが原因だと思います。
〇処方された漢方薬
まとめ
肌荒れを漢方薬で治したいのであれば、証を間違ってはいけません。
肌荒れでお悩みの方がなりがちな3つの証と、漢方薬を押さえておきましょう。
①血虚が加わった肌荒れ
この情報を共有いただけたら幸いです。
堀口先生に漢方処方を依頼するサービス
あなたの証に合った漢方薬は見つかりましたでしょうか?
もしもあなたが複数のつらい症状を抱えていて、治療だけでなく体質改善も進めたいのであれば、漢方薬の選定は慎重に行う必要があります。例えば、漢方の専門家に処方を任せるのも一案かと思います。
堀口和彦先生(経歴)
うち漢方.comの専属薬剤師(昭和38年さいたま市生まれ)
平成7年にさいたま市で漢方専門「光和堂薬局」を開業(院長)、鍼灸治療院も併設
漢方210処方生薬解説、やさしい漢方入門、パプアニューギニアの薬草文化、鍼のエビデンス等の著書
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