女性の不妊症に効く漢方薬!どれを選べばいいの?

基準となる漢方薬
まずは、国がお墨付きを与えている不妊症に有効な漢方薬をご紹介します。厚生労働省が定めている一般用漢方製剤承認基準という薬局メーカーが漢方薬を作るための基準です。
この基準にある〔効能・効果〕から「不妊症」を検索すれば、その答えが出てきます。ここでは、次の1種類の漢方薬を抽出しました。
不妊症の漢方薬は同じ?
では、誰もが基準となる漢方薬で、妊娠しやすくなるのでしょうか?
そんなことはありません。一人ひとりの体質はあまり考慮せず、症状に合わせてお薬を決めるというのは、西洋医学の考え方です。東洋医学を根拠にする漢方薬は、必ずしも「症状=薬」ではありません。
同病異治をご存知ですか。
これは、「同じ病気でも、異なる治療を行う。」という東洋医学の教えです。この教えに沿えば、不妊症に悩む患者さんは、一律に同じ漢方薬を使うということはありません。
漢方治療は、表面上の病気を治療するというよりも、その人特有の原因を分析し、その原因を取り除くという発想で根本治療を進めるからです。
不妊症にはこの漢方薬!と決め付けずに、まずは、妊娠しない原因を探ることが大切になってきます。
ただ、原因を把握するというのはとても難しいことです。いつから妊娠しないのかは何となく覚えていたとしても、ここ数ヶ月間の食事内容、運動で消費したカロリー、睡眠の質などは覚えている方は少ないでしょう。
そこで、原因を探る有効な手段として用いるのが、今の自分の体質を知るということです。体質や気質のことを東洋医学では、証(しょう)と呼んでいます。
この証は、私たちの過去の生活習慣の積み重ねからできていますので、ある時点の証を見出すことで、その病気に至った原因をも読み取ることができるのです。
現在の状況から、過去の原因を見出すのです。
はじめに、証の決め手となる4つの重要な要素を確認しておきます。
この歪んだ状態を、うち漢方では、「8つの証」に分類しています。

不足している状態は次のとおりです。
証に合わない漢方薬を服用すると、効かないどころか、副作用を起こす可能性があるので注意が必要です。
また、証は一つとは限らず複数が同時に現れることがあります。また時間の経過とともに、証は変化していきますので、漢方薬も証の変化に合わせて変えていく必要があります。
証については、次の動画で、うち漢方の専属薬剤師である「堀口和彦先生」が詳しく解説しています。お時間のあるときにご覧いただければ、深いところでご理解いただけるかと思います。
不妊症の証
ここからは、不妊症に効く漢方薬について、証ごとに具体的にご案内していきます。内容は、堀口先生へのインタビュー結果をまとめたものです。

漢方においては、女性の不妊治療は、大きく二つのことを重要視します。
①気虚タイプの不妊
気虚とは、元気の気が不足しているタイプです。食欲も低下し、やせ気味の方がこれに当たります。
体力をつけるためには、消化器系、特に胃腸の働きを高める次の漢方薬を用います。体を温め、妊娠しやすい体にしていきます。
②陽虚タイプの不妊
陽虚とは、体を温めるホルモンなどの力が低下しているタイプです。
新陳代謝が下がってしまい、体の芯まで冷える方に当てはまります。
体の中が冷え切っている状態では、妊娠していきません。そこで、次の漢方薬で、体を暖め、ホルモンの働きを高めていきます。なお、無月経の方の治療にも用います。
③血虚タイプの不妊
ホルモンの働きが乱れることで、妊娠しにくい方もいらっしゃいます。血虚です。血が少ないタイプで、貧血状態も含まれす。
子宮や卵巣まで血が送り込まれないことから、妊娠しにくくなります。このタイプに有効なのが、次の漢方薬です。
④気滞タイプの不妊
気滞は、ストレスよってホルモンバランスが乱れるタイプです。女性でお仕事を持っている方に多いタイプです。
特に、パソコンなどで目を多く使うことによる、眼精疲労や肩こりが起こっている方、それが慢性的に起こっている方がこれに当たります。目の疲れなども、妊娠に悪い影響を与えます。
少々解説を加えます。
目の奥には、脳下垂体があります。そこは、人間の体の中のホルモンの働きすべてを調整する、コントロールセンターの役割をもちます。そこの緊張度が高まってくると、バランスが崩れ、高プロラクチン血症となり、妊娠しにくい体になっていきます。
プロラクチンは、脳下垂体から放出される刺激ホルモンで、乳腺を刺激して乳汁を分泌させるように働きますが、このホルモンの分泌が異常に亢進して乳汁分泌、無排卵月経などを起こすようになります。これを、高プロラクチン血症といいます。
目の奥にある脳下垂体を正常にし、高プロラクチン血症や、乳腺を刺激するホルモンを調整する漢方薬はこちらです。
証は一つでない
あなたの証が、上記のように一つであれば、漢方薬も処方しやすくなります。
→ご自身の証を確認したい場合は、体質チェックをお試しください。
ただ、これまでのうち漢方の患者さんの「証判定の結果」をみると、一つの証に分類できない例が目立ちます。また、不妊症だけでなく、複数の症状やお悩みをもっている方が多いことがわかりました。
私たち人間は、一人としてまったく同じ悩みや証を抱えていることはありません。だから、本当はあなたに合った漢方薬は、これとこれ!とお決めするのが、治療を行う側の役割なのでしょう。
しかし、そうは言っても、お一人ずつの相談をうかがって先生が漢方処方をしていくとなると、「相談料」や「カウンセリング料」が発生してしまいます。
そこで、何とかご自身で見つけられる方法はないかと考え、実際にあったご相談例と、堀口先生が処方した漢方薬を、個人情報をしっかり保護した上で「公開」することにしました。
あなたのお悩みの症状や証に近いご相談事例があれば、そこで処方された漢方薬が参考になろうかと存じます。
不妊症の相談例
では具体的に、相談内容、先生の解説、処方の漢方薬などをご紹介していきます。
なお、証判定の結果や、詳しい相談内容をご覧になりたい場合は、各相談者の表題にリンクを貼っていますのでご覧ください。
39歳女性(気滞)の例
〇ご相談内容
夜熟睡できていないようで、9時間ほど寝ないとすっきりと起きられません。
早く起きても2度寝してしまいます。また昼も眠気に襲われ昼寝をしてしまうことも多々あります。 スポーツクラブに通うなど運動もしておりますが、体力がついていないようにも感じます。疲れやすいです。
早く寝るようにすれば改善するのかと思うのですが、どうしても寝るのは12時くらいになってしまします。 いろいろやりたい気はあるのですが、なかなか取り組む事ができません。やる気はあるけど、出来ない感じです。
このような生活をしていると子供が出来づらくなるような気がして、相談させていただきました。
〇先生の解説
証判定の結果は、気滞が出ていますね。気が停滞して、巡りが悪いと、イライラしたり、不安感や不眠傾向になったりします。
気とは、元気の気で、生命エネルギーのことです。気は不足していませんが、その循環が悪いということです。だだし、気は不足していませんが、その気を蓄えが少ないようです。余裕がなく、自転車操業のような状態と予想します。
気を蓄えるところは、血液や筋肉です。潰瘍性大腸炎を既往されていることから、消化吸収力が低下して、この気の蓄えを少なくしたのではないでしょうか。水分代謝が悪くないということは、気滞の原因は血の循環に問題があり、血が不足しているところと、余って停滞しているところが混在して、その結果気分にもムラができるということでしょう。
漢方薬としては、桂枝茯苓丸料や抑肝散が良さそうです。
〇処方された漢方薬
まとめ
不妊症を漢方薬で治したいのであれば、証を間違ってはいけません。
女性の方で、不妊症でお悩みの方がなりがちな4つの証と、漢方薬を押さえておきましょう。
①気虚タイプの不妊
この情報を共有いただけたら幸いです。
堀口先生に漢方処方を依頼するサービス
あなたの証に合った漢方薬は見つかりましたでしょうか?
もしもあなたが複数のつらい症状を抱えていて、治療だけでなく体質改善も進めたいのであれば、漢方薬の選定は慎重に行う必要があります。例えば、漢方の専門家に処方を任せるのも一案かと思います。
堀口和彦先生(経歴)
うち漢方.comの専属薬剤師(昭和38年さいたま市生まれ)
平成7年にさいたま市で漢方専門「光和堂薬局」を開業(院長)、鍼灸治療院も併設
漢方210処方生薬解説、やさしい漢方入門、パプアニューギニアの薬草文化、鍼のエビデンス等の著書
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