不安に効く漢方薬!どれを選べばいいの?

基準となる漢方薬
まずは、国がお墨付きを与えている不安神経症に有効な漢方薬をご紹介します。厚生労働省が定めている一般用漢方製剤承認基準という薬局メーカーが漢方薬を作るための基準です。
この基準にある〔効能・効果〕から「不安」や「不安神経症」を検索すれば、その答えが出てきます。ここでは、次の3種類の漢方薬を抽出しました。
不安の漢方薬は同じ?
では、誰もが基準となる漢方薬で、不安が治るのでしょうか?
そんなことはありません。一人ひとりの体質はあまり考慮せず、症状に合わせてお薬を決めるというのは、西洋医学の考え方です。東洋医学を根拠にする漢方薬は、必ずしも「症状=薬」ではありません。
同病異治をご存知ですか。
これは、「同じ病気でも、異なる治療を行う。」という東洋医学の教えです。この教えに沿えば、不安に悩む患者さんは、一律に同じ漢方薬を使うということはありません。
漢方治療は、表面上の病気を治療するというよりも、その人特有の病気に至った原因を分析し、その原因を取り除くという発想で根本治療を進めるからです。
不安だからこの漢方薬!と決め付けずに、まずは、不安に至った原因を探ることが大切になってきます。
ただ、原因を把握するというのはとても難しいことです。病気になった時期は何となく覚えていたとしても、ここ数ヶ月間の食事内容、運動で消費したカロリー、睡眠の質などは覚えている方は少ないでしょう。
そこで、原因を探る有効な手段として用いるのが、今の自分の体質を知るということです。体質や気質のことを東洋医学では、証(しょう)と呼んでいます。
この証は、私たちの過去の生活習慣の積み重ねからできていますので、ある時点の証を見出すことで、その病気に至った原因をも読み取ることができるのです。
現在の状況から、過去の原因を見出すのです。
はじめに、証の決め手となる4つの重要な要素を確認しておきます。
この歪んだ状態を、うち漢方では、「8つの証」に分類しています。

不足している状態は次のとおりです。
証に合わない漢方薬を服用すると、効かないどころか、副作用を起こす可能性があるので注意が必要です。
また、証は一つとは限らず複数が同時に現れることがあります。また時間の経過とともに、証は変化していきますので、漢方薬も証の変化に合わせて変えていく必要があります。
証については、次の動画で、うち漢方の専属薬剤師である「堀口和彦先生」が詳しく解説しています。お時間のあるときにご覧いただければ、深いところでご理解いただけるかと思います。
不安の証
ここからは、不安に効く漢方薬について、証ごとに具体的にご案内していきます。内容は、堀口先生へのインタビュー結果をまとめたものです。

漢方では、心に余裕がなかったり、心にゆとりがないことが原因で、不安や不安症になると考えます。
気は、筋肉を動かすと同時に、大脳を働かす力も持っています。気は、エネルギーです。
そんな気ですが、不足している状態でも不安になるし、気はあっても体や脳に滞ってしまうと不安につながります。
①気滞タイプの不安
気滞とは、気が停滞していることです。気は体内にあるので、肉体的には元気さはあります。体力もあります。
しかし、ストレスなどの外部環境によって、自分が苦しい状態になっていき、気が停滞してしまうのです。
特に、気滞タイプの症状は、不安感とともに、のどの閉塞感、閉められるような感じ、違和感、息苦しくなったりします。このような症状の方には、次の漢方薬が有効です。
②気虚タイプの不安
気虚とは、気が不足している状態です。一般的には、元気がなく、貧血気味で、胃腸が弱く消化吸収がしづらい方に多いです。血圧も低め、やせ方に多く見受けられます。
特に、胃腸が弱く、あまり食べられないタイプに合う漢方薬はこちらです。
③陰虚タイプの不安
陰虚は、体を潤すものが不足している状態です。心など精神的な面で潤いが少ないタイプです。
現代(西洋)医学的には、脳内での神経伝達物質であるセレトニンやアセチルコリンが関係します。これらの物質が、過剰になったり、時に枯れてしまうことによって、調節する機能が落ちることで、陰虚になります。
不安感のほかに、頭痛や動悸、不眠などもある方には、次の漢方薬が有効です。
証は一つでない
あなたの証が、上記のように一つであれば、漢方薬も処方しやすくなります。
→ご自身の証を確認したい場合は、体質チェックをお試しください。
ただ、これまでのうち漢方の患者さんの「証判定の結果」をみると、一つの証に分類できない例が目立ちます。また、不安だけでなく、複数の症状やお悩みをもっている方が多いことがわかりました。
私たち人間は、一人としてまったく同じ悩みや証を抱えていることはありません。だから、本当はあなたに合った漢方薬は、これとこれ!とお決めするのが、治療を行う側の役割なのでしょう。
しかし、そうは言っても、お一人ずつの相談をうかがって先生が漢方処方をしていくとなると、「相談料」や「カウンセリング料」が発生してしまいます。
そこで、何とかご自身で見つけられる方法はないかと考え、実際にあったご相談例と、堀口先生が処方した漢方薬を、個人情報をしっかり保護した上で「公開」することにしました。
あなたのお悩みの症状や証に近いご相談事例があれば、そこで処方された漢方薬が参考になろうかと存じます。
不安の相談例
では具体的に、相談内容、先生の解説、処方の漢方薬などをご紹介していきます。
なお、証判定の結果や、詳しい相談内容をご覧になりたい場合は、各相談者の表題にリンクを貼っていますのでご覧ください。
57歳男性(気滞・陽虚・陰虚など)の例
〇ご相談内容
不安感や焦燥感で仕事にも支障が出ています。 診療内科でワイパックス0.5やリーゼを処方してもらっていますが、効き目が感じられません。 並行して 漢方薬を試してみようと思います。 何か良いお薬はあるでしょうか? 藁にもすがる思いです。
実は、男性更年期障害と診断されて、ホルモン注射を打ち始めたところです。まだ、1回しか打っていませんので、効果は無論出ていません。
〇先生の解説
証判定の結果を拝見すると、いずれも気滞が高く出ています。陽虚や陰虚、湿痰もやや出ていますね。
これらから推測すると、心(こころ)の潤いの無さが原因のようです。陰虚は体液やリンパ液、神経伝達物質が不足していることを示しています。湿痰は、逆にこれらの成分が余っていることを示します。
神経伝達物質の分泌が不安定なのでしょう。この不安定さを自律神経でなんとかカバーしているのが現状と予想します。この自律神経の乱れが、気滞の原因になっています。
陽虚は、ホルモンの働きの低下を示します。これらをバランスよく改善するように、漢方処方を調整する必要があります。
〇処方された漢方薬
柴胡加竜骨牡蠣湯と抑肝散がお勧めです。まずは心身の緊張感を取ることです。そして、心の余裕を少しずつ増やして行くことです。
まとめ
不安を漢方薬で治したいのであれば、証を間違ってはいけません。
不安でお悩みの方がなりがちな3つの証と、漢方薬を押さえておきましょう。
①気滞タイプの不安
この情報を共有いただけたら幸いです。
堀口先生に漢方処方を依頼するサービス
あなたの証に合った漢方薬は見つかりましたでしょうか?
もしもあなたが複数のつらい症状を抱えていて、治療だけでなく体質改善も進めたいのであれば、漢方薬の選定は慎重に行う必要があります。例えば、漢方の専門家に処方を任せるのも一案かと思います。
堀口和彦先生(経歴)
うち漢方.comの専属薬剤師(昭和38年さいたま市生まれ)
平成7年にさいたま市で漢方専門「光和堂薬局」を開業(院長)、鍼灸治療院も併設
漢方210処方生薬解説、やさしい漢方入門、パプアニューギニアの薬草文化、鍼のエビデンス等の著書
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